グラフィックデザインからDTP、Webデザインまで
デザインに役に立つテクニックやコツをお届けします。

グラフィックデザイナーになるためにやるべき事

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長年グラフィックデザイナーとして生きて来ました。採用面接をしたり、新人教育をしたりしてきてグラフィックデザイナーになるために必要な事。なるためにはまず何をするべきかなど、長年考えて来た事や、必要な条件などを書いてみようと思います。

グラフィックデザイナーとは?

よく職業はデザイナーというと、「webデザイナーですか?」と「アパレル系?」とか聞かれます。そこでこう言い直します。グラフィックデザイナーですと。普通の人は興味もなければ、知識もないのでなかなか理解して貰えないのですが、簡単に説明する時は、紙媒体、たまにwebもやりますと答えます。

もっと広義的な言い方をするときは、立体じゃないデザインは基本的にグラフィックデザインなのでなんでもやりますって言ったりします。

グラフィックデザインはかなり幅が広く、平面的に資格伝達するあらゆるものって考えてOKです。

デザイナーと言うとアーティスト的に思われる事もありますが、全く逆です。

アートとデザイン

アートは美術で、自己満足の結果をどこまで他者に受け入れて貰えるかがすべてで、むしろ受け入れてもらえなくてもOKなのです。アートは自己満足の産物なので誰からも評価されなくても実は価値はあります。評価されなければ、お金としての価値は0円になりますが。

その点、デザインにおいては必ず相手がいます。自分以外の誰かまたは、その他大勢な場合もあります。ターゲットがいる場合や性別、年齢層を意識しなければならない場合もあります。お金を出すクライアントがいる事がほとんどです。その為、自分好みのものなんてほとんど作れません。何度もやり直しを求められるなんて事もあります。ですので、自分好みにデザインするというのは、もはや単なるアートでしかなく、全くもって嫌いなテイストのものを作らなければならない瞬間も起こりえます。それがデザインってものなんです。いいデザイナーというのは、相手の思い描く最大限に近しいものを素早く提案出来る人間と言うことになります。

グラフィックデザイナーになるためには?

では実際にグラフィックデザイナーになるためにはどうしたらいいのでしょう?

  1. デザイン科のある高校へ行く
  2. デザイン科のある大学または美大へ行く
  3. デザイン科のある専門学校へ行く
  4. DTPスクールへ通う
  5. グラフィックデザインをやっている会社でアルバイトや正社員として働く
  6. 独学で学ぶ

年齢的に早い段階でグラフィックデザイナーになりたいと考えている方は、1.デザイン科のある高校へ行くをお勧めします。

また、高校生以上の方は、2.デザイン科のある大学へ行くまたは美大に行く 3.デザイン科のある専門学校へ行くも視野に入れつつ、5.デザイン科のある会社で働くという選択肢もあります。

2.のデザイン科のある大学へ行くは、そこまでハードルは高くありません。しかし、美大ともなると狭き門です。大学にもよりますが、かなりのセンスと最低限の学力が必要になってきますが、美大に入る事が出来れば、グラフィックデザイナーとしては200点です。デザイナーとして就職活動をするには、美大というのは大きなアドバンテージになります。そもそもある程度のセンスがないと、入学する事も出来ませんからね。

さて、ここまでは学生へ向けたお話でしたが、ここからは社会人へ目を向けて行きましょう。

人は、将来の夢を決めなくてはならない岐路に、割と早い段階で立たされます。それが高校受験や大学受験です。ほとんどの人は、この段階に於いてはなんとなくでしかなく、むしろ決まってない人が大多数です。中にはちゃんと将来を考えて学部を選定出来ている人もいるでしょう。例えば、医者や弁護士を目指す人などは、既に大学選びや学部選びの段階で目指す将来を限定しています。

そして美大を目指すって人もある程度将来を限定していて、そもそも予備校から違ってきます。通常は美術専門の予備校に通います。

美大やデザイン科のある大学に通っていた人間はお金も労力も人一倍努力を踏んでいる人たちです。そしてセンスもあれば、基礎知識もある程度はあるでしょう。

さて、問題なのはこれらの工程や経験を踏んで来なかった人で、なんとなく響きがかっこいいからと言って、方向転換してデザイナーになりたい組の人たちです。大概の人は4.のDTPスクールへ通って、3ヵ月くらいアプリケーションの勉強をしただけでデザイナーになれるという浅はかな考えを持っている印象です。この手の人たちは、高校、大学、就職をなんとなく夢も無く生きてしまって、どこで辿り着いたか、ふとデザインをやってみたいと考えてDTPスクールに通います。

何が言いたいかと言うと、そんなレベルの人たちが食っていける程甘い世界でも無ければ、カッコイイ世界でも無いと言う事です。

つまり、誰でも入れてしまう専門学校やDTPスクールレベルの人たちは、それ相応の努力が必要だと言うことになります。正直言って、DTPスクール通ってましたって人よりも5.の独学で学ぶをやってた人の方が、知識も意欲も上です。それでもグラフィックデザイナーになりたいって人は、なる為にも、なってからも努力を惜しまない事です。

先にも述べたように、早い段階でクリエイターやグラフィックデザイナーを志している人間は、かなりのエリートです。そもそも幼少期から何らかのカタチで自らの才能を自覚している場合が多いです。

私自身も才能あるなと思ったのは小学校時代で、図画工作の授業では誰にも負けた事はありませんでした。さらに、図工や美術で作った作品は、市の美術展、地域の美術展、県の美術展に出展されることがほとんどで、取った賞の数は数え切れない程です。正直、学年1強でした。

スポーツの世界でも、中学、高校で注目され、野球で言えば甲子園、サッカーで言えば、国立に行ける才能の人たちっていますよね。スポーツの世界でもそうですが、全ての才能ある人達がイチローレベルになれるかと言えば、そんなことはありませんね。イチロー幼少期から努力を惜しまず、結果として頂点に立つ事が出来ている例です。そして、才能があっても、努力を欠けば凡人で終わってしまう選手は多々います。しかし、そんな凡人レベルの人たちでも、きっと草野球レベルでは誰にも負けないだけの実力や才能は発揮出来る事でしょう。

私の話に戻りましょう。私の場合も凡人に終わってしまったパターンです。それでも人一倍努力はしたつもりですが、まあ、足りなかったのですね。そして、学年イチと思っていた才能も、世に出れば井の中の蛙でした。しかし、草野球レベルではやはり負ける気はしません。

さて、社会人になってからデザインの道を志した人たちはどうすればいいのでしょうか?中には、もともと潜在的なデザインのセンスがある人もいますが、センスだけではやって行けないのは、先にも述べたようにスポーツとも共通した点です。

では、デザインにおける努力とはなんなのでしょうか?それは二つあります。

デザイナーに必要な二つの努力

長年グラフィックデザイナーをやってきて、努力すべき肝心な事が二つあります。

それは知識と技師です。この2点は努力次第でなんとでもなりますし、コレを怠るとDTPオペレーターにすらなれないです。この点は、どんな職業にも共通して言えますね。

そして、まずは知識。グラフィックデザイナーにおける知識はかなり幅広いですよ。印刷の知識、紙の知識、デザイン方法論、ボキャブラリー、webをやるならwebに関する知識などありとあらゆる知識がモノをいいます。時には3DCGを覚えなければいけない場合もあります。広く、深く勉強した者だけが高みを目指せますし、高い給料を手に入れる事が可能になります。

デザイン方法論は所謂セオリーで固める事が可能なのです。センスはホンの少しあれば良い世界です。沢山のセオリーの複合要素の先に良いデザインが生まれます。知識を身につければ、アートディレクターにもなれます。逆に知識不足だとディレクションなんて出来ません。知識の中には、クライアントを知るという努力も必要になってきます。

簡単な話はデザインを心の底から好きになることです。そして嫌いなデザインなんてあってはならないです。しかし、嫌悪感のあるデザインはあります。それはセオリーから逸脱したデザインです。デザインの善し悪しは、良いデザインにおけるセオリーがなされているかという事です。ですので、知識が必要不可欠なのです。

具体的な例を挙げてみましょう。

住宅メーカーのチラシを作るとしましょう。その場合、まずはそのクライアントの住宅メーカーの技術力、こだわりや社風が大前提になってきます。そこへ、チラシなので印刷の知識が必要になります。サイズや紙はどうすれば効果的かも重要なファクターになります。そこから初めてデザインの方法論に至ります。どんなテイストにするかによって、版面を決め、書体を決め、写真を選んでいきます。写真を使用する場合もクライアントに合っているか、トリミングは適切かなど、カメラワークや写真に関する知識やセオリーが必要になります。そして、キャッチコピーは果たして今回のチラシの意図に対して適切かという語彙や文章力の知識も問われます。そして、色が季節や時期に合っているか?ターゲットの年齢層にマッチしているか?または、クライアントの意思に反していないかなどの判断をしなくてはなりません。ここまで書いた事は、グラフィックデザインをやる上で必要不可欠な、知識だけの話になります。たかだかチラシ一つを例に挙げてもこれだけの知識量が必要になり、ひとつひとつ潰して行く作業工程を経て必然的にデザインは出来上がっていくのです。考えなしになんとなくデザインしたモノはパッと見でわかります。浅くてダサくて、素人っぽくて、、それではクライアントも首を縦に振らないどころか、お金を払ってもくれません。

これが、ノベルティ、パッケージ、webなど機能性がより必要なものになればなるほど強く表れてきます。

よって、知識を身につける努力は惜しまず継続していくべきです。

 

次に技術。デザインにおいての技術とは、まずは道具の使い方からです。パソコンを使って作業をする以上、パソコンの使い方はさておき、メンテナンスも自分で出来ないと話になりません。F1ドライバーは、それだけで既に一流のプロフェッショナルですが、彼らは自分でF1マシンのメンテナンスが出来ます。試合中はドライビングに集中する為にメカニックに全てを頼りますが、マシンを仕上げる為に自らもマシンを知り、走行中に不具合があれば、誰よりも的確に故障箇所を指摘できる技術と知識を併せ持っています。オートレーサーなんかも自らのバイクの整備は自分でやりますし、ボートレーサーなども自分のボートのエンジンをバラして組み直す事さえ出来てしまいます。我々デザイナーもマシンは違えど、日々戦う道具と言う点に於いては一緒です。私もOSの調子が悪ければ自分で直しますし、Mac本体が調子悪ければ、中を開けてバラして直します。そのくらいは当然ですよ。普段仕事をする道具で人に頼るなんてプロフェッショナルのする事ではありませんから。

PCの話はさておき、グラフィックデザイナーに必要な技術で肝心なのは、ソフトウェアの使い方ですね。Illustrator、Photoshop、InDesign、Dreamwaverなどグラフィックアプリケーションの使い方。これこそ必須です。誰かに教えてもらおうなんて甘いです。自分で必死に覚えなさいです。DTPスクール通ってた人たちは特に、教わる事が当たり前で、自ら学ぶ姿勢が欠如している傾向が強いです。我々デザイナーはこれが運転技術の様なもので、ほとんどの人は、免許はとったけどペーパードライバーですって平気で言ってきます。運転技術を上げたいのであれば、自分の車を所有して、毎日街を乗りまわして慣れるようにしますよね。時には見たことない標識に差し掛かったら、その場で調べて交通違反にならないようにしますよね。早く目的地に行くために高速道路を覚えますよね。

全く一緒です。グラフィックデザイナーにおいてDTPアプリケーションを使いこなす事は初歩中の初歩なのです。これこそ努力をすべき点です。その後のドリフト走行やジムカーナ的な難易度の高い技術(比喩ですよ)は、意欲があれば盗みとって身につければ良いのです。

知識と技術の必要性は伝わったでしょうか?

あなたはこの二つを徹底的にやれる人ですか?これが出来て初めてグラフィックデザイナーの土俵に立つことが可能になります。

努力をしてから、佐藤可士和みたいになりたいって言ってくださいね。努力もしてない人がこの名前を口に出す率が高過ぎます。高みを目指す事は良いですが、まずは草野球で一番になる努力をしてからイチローを目指しましょう。

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